事の発端は、人族の増長にあった。先の大戦から、950年。それなりの平和が続いていたが、同時に各種族間のいがみあいが激しい。
そのことを、帝に上申したら、困った顔をしていた。それにしても、きな臭い情勢が世界を覆っている。
近いうちに、大きな戦争が起きるかもしれないと話すと、宿命通を使った帝が浮かぬ顔をしていた。
危惧していたことが起きた。
人族は、月の女神との契約をいいことに、月の魔力を凝縮し、兵士とする呪術を完成させたようだ。
その呪術の名を、【盈月の落とし子】といい、五年ごとに発動するように、ルナ盆地に魔方陣を刻んだという。
大陸を揺るがす大地震が、この年起った。どうやら、ただの地震ではないようだ。
幸か不幸か、大地の怒りを恐れ、三つの種族は和解する至った。
ここに、後に【第一次三族大戦】と呼ばれる三千年に渡る大戦は、終わりを告げたのである。
【ルナブラン聖定文書館 凌神級光輪刀聖 旅将ドゥクス1世公爵の手記より】
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